鋼鉄の魂は滅びず 〜マシンウォーズ〜
1997年、開始2年目にしてビーストウォーズはアメリカ市場を席巻するのみならず、日本への上陸まで果たした。トランスフォーマーと言えばビーストウォーズであり、市場においてはもはやかつてのメカニックなトランスフォーマーたちが省みられることはなかった。
だが、10年以上の歴史を知るトランスフォーマーのファンたちは、決して鋼の戦士たちを忘れてはいなかった。トランスフォーマーと言えばメカニック、そういう声はやはりファンの中に根強く残っていた。それはメーカーサイドにとっても同様であったに違いない。そして、ついにチャンスは巡ってきたのである。
マシンウォーズとは、1997年にケナー社が発売したもう一つのトランスフォーマーシリーズである。旧来のメカニックなトランスフォーマーの流れを継ぐものであるが、ビーストウォーズと区別をするために敢えて「マシンウォーズ」とのシリーズ名を与えられている。ただし、多分に試験販売的な意味合いが強いようで、アメリカの大手玩具チェーン「ケイビー」限定発売であった。
気になることとは思うが、残念ながらマシンウォーズの世界観ははっきりとは明らかにされていない。無論、ビーストウォーズとの関連性に関しても全く不明である。通常、シリーズを通しての設定はパッケージ裏などに書かれていることが多いが、マシンウォーズではそうしたものは一切なく、かろうじてバイオカードのキャラクタープロフィールにその片鱗がかすかに読みとれるのみだ。有り体に言えば、旧シリーズのキャラクターの名前を用いてはいるものの、独自の世界観などの詳細な設定は存在しないものと思われる。
設定のみならず、パッケージなどにもあまり力が入っていない点が見て取れる。例えば、一部のキャラクターにおいては、過去の無関係なキャラクターのイラストを一部修正しただけで使っていたりする。だから、イラストと商品が似ても似つかないものもある。また、商品自体も新規開発のものは一点もなく、ヨーロッパ製品の改修品と未発売になってお蔵入りになっていた物のみである。なお、エンブレムは基本的にG2のものを使用しているが、G2以前のヨーロッパ版の改修品ではステッカーなどに旧エンブレムが使われている。
発売されたラインナップはオートボットとディセプティコン合わせてたったの12体。大きさによってラージ、ミディアム、スモールの3種に分類されている。サイズ分類は、ラージサイズとミディアムサイズの元になっているヨーロッパ版のターボマスターとプレデターに基づくものと思われる。では、ラインナップを紹介していこう。
AUTOBOT
LARGE



OPTIMUS PRIME
:当然といえば当然の事ながら、オートボットのリーダーはオプティマスプライム、すなわちコンボイ司令官である。どうしてG2の姿から現在の姿に変わったのか、詳しいことは明らかにされていない。
MIDIUM


SANDSTORM
:ヘリコプターに変形するサンドストームは砂漠偵察員である。かつてトリプルチェンジャーでヘリコプターの他にバギーにも変形可能であったことを考えると、退化しているようにも見える。
SMALL
スモールサイズのマシンウォーズは、実はジェネレーション2の後期に開発されていたものである。ジェネレーション2の販売が不振であったこともあり、これらの発売を待たずにトランスフォーマーはビーストウォーズに移行してしまっていたわけだ。(『ビーストウォーズセカンド』のオートジェッターとオートランチャーも同様。他に、いまだ未発売のG2商品として新型ゴーボッツなどがある。)発売されなかったとはいえ、スプリングアクションによる一発変形やボールジョイントなどを用いたフリーポージングなどのコンセプトは、ビーストウォーズのスタンダードサイズ商品に受け継がれている。


MIRAGE
:ミラージュとは、すなわちファーストシリーズのリジェのことである。姿を消す能力は相変わらずの様だ。カラーリングやレーシングカー形態も、昔の姿に比較的近い。両脚の内側に組み立て式の銃を隠し持つ。パッケージイラストはG2のレーザーロッド、JOLTの使い回し。PROWL:プロールはリジェと同タイプで、カラーリングはパールホワイトにブラックとかつてのパトロールカーだったときのそれをイメージしている。
HOIST:ホイストはレッカー車からクレーン付きのトラックへと姿が変わった。しかし、カラーリングは全身真っ黒で、どちらかというと同型だった仲間のトレイルブレーカーに近いようだ。バンパー部分を取り外すと銃になる。
HUBCAP:ハブキャップといえば昔はクリフとほぼ同じ型のポルシェだったので、ホイストの同型のトラックとは、またずいぶんとイメージが変わってしまったものである。カラーリングは以前と同じイエロー。
DECEPTICON
LARGE


STARSCREAM
:スタースクリームがついに念願かなってデストロンのリーダーに…なったわけではなく、ただ単に大きいだけである。とはいえ、航空兵としてはもっともポピュラーなスタースクリームをラージサイズのジェット機にしたセンスは評価したい。(メガトロンがスモールサイズなので、消去法だっただけかも知れないが。)
MIDIUM


SOUNDWAVE
:サウンドウェーブといえば、もちろん情報参謀の彼である。スタースクリームと同様、プレデターズのミディアムサイズキャラクター、ストーカーの改修品。覗き穴部分の画像とミサイルランチャーが削除されているのもスタースクリームと同様。ただし、こちらではミサイルは一発も入っていない。
SMALL
オートボットのスモールサイズ同様、G2後期に開発されていたものだ。オートボット、ディセプティコン共に言えることだが、目の部分は集光樹脂を用いて目が光ることを前提にした部品分割になっているにもかかわらず、マシンウォーズでは透光性のない銀色の樹脂で成形されている。いささかもったいない話である。ちなみに、日本国内で『ビーストウォーズセカンド』のラインナップで発売されたダージとスラストでは、目の部分はちゃんとピンク色の集光樹脂で成形されている。


MEGATRON
:小さいながらも、ディセプティコンのリーダー。もともとメガトロンとして開発されたものなので、他の連中と違って頭部の造形はちゃんとメガトロンである。戦車の次はジェット戦闘機というあたりが、貪欲なメガトロンらしくて面白いかも知れない。日本国内では色を変えて『ビーストウォーズセカンド』のスラストとして発売された。イラストはプレデターズのTALONの使い回し。MEGAPLEX:メガトロンの影武者として作られたという変わり種。(まあ、色替えキャラとしての言い訳だろうが。)影武者とはいえメガトロンのクローンなので、それなりの能力を持っており、決して侮れない。ミディアムブルーの方がメガトロンで、シルバーがメガプレックスだ。
SKYWARP:おなじみの古顔航空兵士。昔の顔とは全然似ていないが。イラストはプレデターズのSKYDIVE(だと思う)の使い回し。ただし、カラーリングは昔とは正反対の真っ白だ。
THUNDERCRACKER: サンダークラッカーの同型色替えがスカイワープというのは、非常に正しい。『セカンド』ではダージ。
マシンウォーズにはさらなる展開の予定もあった。ボットコンUSAの新トイ紹介で、ホットロッドやアーシーといった名前も発表されている。だが、残念なことにマシンウォーズは終了してしまった。はっきり言えば、あまり売れなかったのである。また、日本でも『ビーストウォーズセカンド』において敵側キャラクターとしてメカニックなトイが発売されたが、やはり好評とは言えなかった。古くからのファンとしては残念なことであるが、現状でメカニックなトランスフォーマーが再登場する可能性はほぼないに等しいと言えるだろう。もしあるとすれば、それはビーストウォーズが終わるときかも知れない。
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