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今夜の番組チェック

 

黒歴史 第一章

 今をさかのぼること約20年前、株式会社トミーから発売された一連のシステマティックな変型玩具、「ミラクルチェンジ」と銘打たれたそれらはいずれもスプリングを多用し、スイッチ一つで一瞬のうちに姿を変えるという、当時としては画期的なシステムを持っていた。テレビコマーシャルでのインパクトは絶大なものがあり、番組は忘れてもコマーシャルだけは覚えているという人間も少なくないほどである。複雑に入り組んでいながら外見上シンプルで美しいフォルムを保つギミックは、「メカ生体ゾイド」や「超特急ヒカリアン」などに発揮されるトミーのメカニック構築の持ち味を垣間見せるものといってよいだろう。

 なお、「ミラクルチェンジ」というのはこれらの玩具に共通して冠された名称ではあるが、これらの玩具が統一したシリーズ名でカテゴライズされているわけではない。例えば、「タンサー5」の場合は「タンサー合金」というように、それぞれの番組で区切られた格好となっている。

 

科学冒険隊 タンサー5 タンサー合金

 自在に変型する5台のマシンを駆って、様々な時代や場所を冒険する5人の若者、ってな番組だったはずだ。すまん、よく覚えてない。番組もほとんど見てなかったし。ネットは東京12チャンネル(現TV東京)で、製作は日本サンライズ(現サンライズ)。5台のマシンといっても、実際に変形するのは4台のみで、残る一台「タイムタンサー」は非変形。しかも、「恐竜戦隊コセイドン」のコセイドン号の使い回しである。(まあ、時間移動メカには違いないが。)また、ビッグタンサーの玩具はダイキャストを使用しておらず、厳密にはタンサー合金シリーズには含まれない。
 母艦であるビッグタンサーを除けば、いずれも現用車風の自動車型から様々な形に変型するのがこのシリーズの特徴だ。なお、自動車が一発変型で飛行メカやドリルメカになるというコンセプトは後の「ダイアクロン」の「チェンジアタッカー」というシリーズにも見られるが、ひょっとするとこれがアイデアソースになっているかもしれない。

 スカイタンサー

 スポーツカータイプのマシンがジェット機に一発変型。実際に町中を走っていても不思議ではないようなカーモードの流線形の美しさと、ジェットのシャープさが見事。ただし、ウインドーを透明にすると中の構造が見えてしまうためもあってか、いずれも不透明なシールで処理されている。変型は、両サイドが外側に開いてその中から翼が出、同時に機首が展開してルーフ部分を後部におり畳むというもの。ジェットモードになるとコックピットがえらく小さくなるが、そんな細かいことは気にしない。ジェットモードではミサイルを一発発射可。

 

 ランドタンサー

 オフロードカーがドリルタンクに一発変型。やはりドリルは外せない。現用車そっくりのカーモードは見事だが、ドリルタンクになるとバンパーや後部に畳んだサイドのパートが張り出して、ドリルタンクとしてはいまいちフォルムが美しくない。変型は、フロントの両サイドを後ろに折り畳み、ドリルと前キャタピラが前方にスライドするというもの。車体後部の噴射のズルだけは、手で引っぱり出さなければならない。ドリルタンクモードでは、ミサイルを2発発射可能。

 

 アクアタンサー

 ワンボックスカーが潜水艇に一発変形。妙に角張ったカーモードが、現用車のイメージが強い他の2台に較べると浮いている。変型は前後左右に開いて操縦席が前にスライドするだけくだけとシンプルだが、後部のルーフからリアにかけての部分は二つのスプリングのテンションがパーツの重さのバランスまで計算されて見事に折り畳まれているもので、ギミックのデリケートさでは3機の中で随一。潜水艇モードではミサイル2発発射。

 

 ビッグタンサー大冒険セット

 名前からもわかるように、ミラクルチェンジシリーズの中でもどちらかというとプレイセットの趣が強い一品。非変形で小型のスカイタンサー、ランドタンサー、アクアタンサーが付属しており、変型して空母状になると三機を搭載することができる。期待各部が変型するが、それぞれのギミックがすべて独立しており、変型完了にはいくつものボタンを順番に押していかなければならないが、これがまた小気味よかったりする。

(現物が行方不明のため、残念ながら写真は掲載できません。)

 

伝説巨人イデオン 奇跡合体

 ミラクルチェンジシステムを搭載した三機のメカが、さらに合体してイデの巨人に。富野義幸(現、由悠季)氏が「機動戦士ガンダム」の次に手がけた作品であり、もっとも「イっちゃってる」作品としても名高いイデオンだが、ポジション的には東京12チャンネルネットでサンライズ製作と、タンサー5の後を受けるものであったことはほとんどみんな忘れ去っている。なお、初期の構想では三機のメカは装甲車と幼稚園バスとタンクローリーというものだったそうで、「こんなもので番組が作れるか」というわけで異星人の遺跡メカと言うことに落ち着いたのであるが、確かに各マシンのシルエットにはその名残が見て取れる。
 変型だけでなく合体もこなす都合上、すべての変型をスイッチ一つでこなすというわけには行かなかったようだが、それでもその複雑な変型システムは今見ても色褪せるものではない。(プロポーション的にはともかく。)なお、各部(特に腕)のロックが甘いため、置いておくと夜中にカシャンと突然変型したりする怖いロボットとしても有名である。
 販売形態は、「奇跡合体」というセット箱の他に、単品売りもあった。

Aメカ

 装甲車風のシルエットのソルアンバーから、キャタピラ横に見えるスイッチを押すことで上部が後ろに延びてさらに左右に展開し、そこから主翼が出てジェット機タイプのイデオデルタになるという複雑なシステムを持つ。機首と垂直尾翼は手で起こさなければならない。

 イデオンへの合体モードへの変型は、ソルアンバーの機体下面のスライドスイッチを操作すると全体が左右に分割されて頭部が現れるので、しかる後に両腕の外側のスイッチ(矢印)を引いて腕を伸ばすというものである。ただし、これほどスムーズに行くことは滅多になく、大抵の場合はいきおい余って腕の部分が開いてしまったりする。スプリングで発射するパンチのみは別パーツとなるが、それ以外に余剰パーツはない。

 

Bメカ

 ソルバニアーの後半部分が展開して、戦闘モードのイデオノバになる。ガバッと開くだけなので、変型としての面白みはあまりない。また、アニメでの変型システムも半分以上省略されている。とはいえ、三機の中で唯一手動での変型部がない。操縦席部は、中央が飛び出したイデオノバ状態から変わらない。

 合体モードへの変形時は、胸の中央の部分を押すと余剰パーツとなる操縦席部分がスプリングで飛び出すようになっている。変な形だが、これだけで独立した乗物として遊ぶこともできなくはない。

 

Cメカ

 陸上メカのソルコンバーから飛行タイプのイデオバスタに変形する。下半身を構成するだけあって、三機の中で最も大型。前方翼のみ手動で変型する必要があるが、変型はAメカに次いで大胆である。

 機体中央のボタンにギミックが集中しており、途中まで押すと機体後部(脚)がのび、さらに押し込むと脚部が展開して主翼が飛び出すという二段仕掛けだ。つま先の展開や操縦席の変型は省略されているとはいえ、バタンバタンと変型する様は大胆でかつ小気味よい。合体モードでは操縦席が余ることになるが、操縦席にはミサイル発射装置を内蔵しており、また操縦席だけを外しても水平に置けるように脚まで付いているので、トーチカとしての独立した遊びが可能…かも知れない。

 

 今から20年も前にこれほど複雑な変型システムを持った玩具が存在したことを覚えておいて欲しい。一発変型といえば最近ではビーストウォーズなどを思い出すが、そのルーツとも言える玩具がこんな昔にあったのである。なお、ここに掲載した以外にも「ミラクルチェンジ」のアイテムをご存じの方がいらっしゃれば、ご一報願えれば幸いである。

 

 

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